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ここからは、肛門病スペシャル、です。
【肛門病スペシャル】
三大肛門疾患と呼ばれるものは、内痔核、裂肛、痔ろうです。これは、先日、テストに出しましたね。易しい問題でした。学問的にはなんら面白みのない問題ですが、これくらい知らないと、まったくお話になりませんね。でも、出来ない人が結構いましたよ。学生だから仕方ないけれど、医師になっても、学生時代より知識のない人はたくさんいますから、こんな、事実も知らないお医者様が、結構いるのかもしれませんね。
本当の専門家で、こんな問題を出されて間違う人はいませんが、うその専門家では、結構間違う人がいるのかもしれません。うその専門家とは、悲しいことに、外科医ないし消化器外科医のことです。肛門病は、なぜか、消化器内科医は扱いませんから、外科医にそんな患者さんは回ってくるのです。そこで大変なことがおこります。肛門疾患を診ることを期待されている医者が、実は、よくわかっていない場合は。
肛門疾患で、素人様でも知っているのは、内痔核です。いぼ痔と呼ばれたりします。いぼとは関係ないのですが、まあ、そう呼ばれて、そんな風に理解されています。これは、さすがに、肛門を診たことのない外科医でも知っています。実は、これしか知らないのじゃないかと思われる外科医がけっこう多いのですね。
まず、お尻の不調を訴えて受診した患者さんは、外科医によって診察され、内痔核があるかどうか、2つに分けられます。内痔核がないと、気のせいだと言われて追い返されます。しかし、症状は続きますから、また、同じところを受診したりすると、お知りばかり気にしている気の変なやつだという風に思われて、さらに追い返されるか、神経症の薬やうつ病の薬が処方されたりします。別の外科医をたずねても、同じことの繰り返しです。こんな患者さんが、わたしのところに紹介されてきて、実は、内痔核でもなく、また、珍しい病気でもない、三大肛門疾患のうちのどれか、つまり、裂肛や痔ろうであることは、良くあることです。こんなとき、俺って名医なんだなぁと思ったりしますが、よく考えると、名医でもなんでもないのですね。だって、三大肛門疾患と呼ばれている病気を診断しただけなのですから。咳をしている患者さんを、気管支炎ですね、と診断するのと同じくらい当たり前のことですから。
でも、本当にこんなことが大学病院内部でも結構あるし(まあ、若い医者が多いからしかたがないかなぁ)、市中で肛門が得意と口コミの外科クリニックからの紹介患者さんでもこんなことが頻繁にあります。
しかし、この患者さんは、まだ、幸運でした。一番不幸な患者さんは、たまたま内痔核が大きくて、内痔核と診断されてしまった方々です。本人が訴えている症状の原因は、内痔核ではないのに、たまたま、内痔核があったものだから、そのお医者様に、わが意を得たり!内痔核です!薬はこれね!とか手術しましょ!とか、順調にことが運んでしまった方です。
もちろん、こんな方は、手術をしても、症状は取れません。悲しいですね。
でも、なぜ、こんなにも、(といってもどのくらいかわからないでしょうが、結構、多いのです)、三大疾患さえわからない外科医がいるのでしょうか。肛門疾患を診ることを期待されているのに。
実は、教育を受け持っている大学病院や、一般の大病院に、肛門疾患が専門の医者がほとんどいないからです。そして、かつては、そのような治療も大病院ではおこなっていませんでした。癌の治療に忙しいのですから。
肛門疾患は、基本的には、機能の疾患です。癌などの腫瘍は、形態の疾患です。外科の多くは、形態を相手にしています。ですから、このようなことがおこるのだと思います。そして、外科で出世するためには、癌の臨床と研究をしなければだめでした。逆に言うと癌の研究のほうがしやすいのです。ですから、こういう風になっていたのではないでしょうか。
じゃ、大学で、肛門の機能を研究し治療していた、著者の場合はどうなのだって?
訳あって出世したくなかったのですね。それがポリシーだったのですね。
ところで、話は変わりますが、英国の大腸肛門疾患の専門病院、セントマークス病院に留学した最初の日、外科部長室に呼ばれた時のことを思い出します。日本の大学病院でどのような病気を手術して来たのかと、質問されたとき、のことです。
「手術の95%以上は、癌の大きな手術です。」とわたしが答えると、
それをきいて、ほくそえむようにいわれました。「われわれは、大腸肛門病の専門家だから、大腸癌の手術はしない。癌は、一般病院の一般医の仕事だ。われわれは、スペシャリストだから、もっと困難な大腸の手術をする」
でも、実際は、かなりのリップサービスでした。けっこう、その病院でも大腸癌の手術をしていましたよ。でも、心意気は、そういうことだったのですね。『大腸の専門家だから、大腸癌の手術はしない。一般病院に任せておけばいい。われわれは、もっと困難の病気の治療をする。』それが、機能性の疾患のことなのですね。
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目次
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1.なぜ、大腸・肛門・骨盤底の疾患に特化したホームページを作ろうとしたのか?
2. 大腸ポリープがありますよ、といわれたら
3. 大腸という言葉を使えば
4.大腸癌の話
5.22歳女性の肛門癌
6. 大腸癌の危険率、そして、検診の確認の甘い罠
7. 直腸カルチノイド
8. 直腸カルチノイドの怪
9. 潰瘍性大腸炎と大腸癌
10. クローン病
11.虚血性大腸炎
12.薬剤性腸炎
13.抗生物質による偽膜性腸炎
14.アメーバ腸炎
15.O-157腸炎
16.トラベラーズ腸炎
17.ノロウイルス腸炎
18.MRSA腸炎
19.骨盤炎、ダグラス窩膿瘍
20.放射線性腸炎
21.恐るべし、放射線治療後の膀胱
22.閉塞性腸炎
23.腸閉塞と例え話、あるいは、例え話の閉塞状況
24.急性虫垂炎の24歳の女性
25.シマウマのような12歳の少女の虫垂炎
26.卵巣がんのダグラス氏窩転移
27.過敏性大腸症
28.偽性腸閉塞症
29.慢性便秘
30.巨大結腸症とS状結腸過長症
31.肛門病スペシャル
32.肛門病スペシャルの名にふさわしい、ザ裂肛
33.内痔核 その対称性の乱れの話
34.痔と直腸癌
35.内痔核の話を続けましょう
36.痔と直腸癌 痔という病気
37.直腸異物
38.肛門管の話を続けましょう
39.内痔核の分類 Goligher分類
40.骨盤底筋群ということばが好きな理由
41.陰部神経のドグマ
42.陰部神経の新しい検査法の開発には理由がある
43.陰部神経潜時測定で何がわかったのか
44.肛門を評価する(1)マノメトリーという准基本検査の罠
45.肛門を評価する(2)デフェコグラフィー (Defecography 排便造影)について
46.肛門の“8の字ダンス”
47.ポリープをとってほしかった
48.大腸ポリープに対する切除法 blood patch EMRという方法
49.別稿 大腸ポリープに対する安全な新しいポリペクトミー(EMR)の方法 ブラッドパッチEMR法 (blood patch EMR)の紹介
50.診療の秘訣 ブラッドパッチEMR
51.打撃フォームを変えるにも等しいこと
52.クリニック
53.
54.消化器外科医の実力
55.セカンドオピニオン ブルース
56.セカンドオピニオン 異聞
57.不信感という、時代のキーワード
58.そう説明してくれればわかります
59.セカンドオピニオン 異聞 裏の裏
60.終わりにー 文系のための医学誌
61.
62.そのほかの疾患:包茎は手術するべきか、受けるべきか。わたしの裏技手術
63.太ることと大腸癌
64.便潜血反応検査が陽性だったのですね
65.ものには旬というものがある
66.直腸癌は疫学的に異なるカテゴリーに属する
67. 大腸癌の原因は肉食???本当に本当?
68.盲腸ポート
68.盲腸ポート
69. 最善を尽くしましょうと請け負っていた外科医が
70. 病気が顔を変える
71. 女性と肛門
(外リンク)
72. 女性と肛門病
73.妊娠と肛門
74. 女性と大腸
75. 女性と大腸癌
76. 女性と直腸癌
77. 女性と肛門癌
78. 女性と便秘
79. 女性と腹痛
80. 女性と大腸内視鏡検査
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