the web 大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャル 14
しばらく、感染性腸炎の話をします。
【アメーバ腸炎】
アメーバという虫によって引き起こされる腸炎です。
どんな形の腸炎を起こしても不思議のない病気と言われています。大腸内視鏡検査をして、なんだかわけのわからない、診断の付かない腸炎をみたら、疑わなければいけない病気ですね。東南アジアなどの海外渡航歴があることがほとんどですが、私は、海外に行ったことなどない、田舎のおばあちゃんでも経験がありますので、教科書で言われるような海外渡航歴にこだわりすぎるのは、よくないかもしれませんね。大腸内視鏡検査による組織検査で、アメーバを見出されれば、確定診断がつきます。
それから、このごろ増えているのが、男性同性愛者による感染ですね。オーラルセックスによる感染やエイズで体が弱ったときに発症する、いわゆる日和見感染も多いので専門家は、知識としては、もっていないといけないですね。
もっと詳しく話すと、嚢子を口から摂取して感染し、十二指腸で栄養型になります。栄養型として大腸粘膜に進入し、増殖するとともに分泌物によって組織を溶かして殺してしまいます。急性期には、赤血球を食べます。アメーバが血液に乗って全身を回れば、肝臓や脳にアメーバ膿瘍を作ります。
感染から発症までの潜伏期といわれる期間は、数ヶ月以上のことが多いので、このアメーバのことを知らないと、海外渡航などと関係があることを見逃してしまうのですね。こういうことを知っていて、的確に、患者から、聞き出せるかが、名医とそうでないものとの差なのですね。 大腸病変は、盲腸や上行結腸といった奥のほうに多いといわれていますが、私の経験した症例は、直腸にも病変がありました。病変は、教科書的には、フラスコ状潰瘍などと言われますが、何度もいいますように、実際には、病変が多彩で、わけがわからないときに、考えるべき症例として捕らえておいたほうがいいかもしれませんね。潰瘍によって大腸の壁が薄くなっているので、穿孔(穴が開く)危険が高いといわれています。
メトロニダゾールという薬が効きますから、診断が付けば、一安心です。